キッチンからの眺めは散らかったリビングでいつもイライラ/ビフォー
キッチンからの眺めは散らかったリビングでいつもイライラ/ビフォー

 気づけば、休日の友人の誘いを断ったり、夜も遅くまで起きたりして、真剣に片づける日々。その姿を見ていた夫と娘も変わり始めます。

 今まで家事をやらなかった夫が、自発的にやってくれるようになりました。育児もまかせっきりだったのが、「もう歯は磨いた?」「そろそろ学校に行く時間だよ」と声をかけるように。

「今まで私があせって先に声をかけていたから、夫が声かけをするチャンスを奪っていたんですね。片づけが進んで心に余裕ができると、私が怒鳴ることもなくなってきました」

物がなくなり、家族みんながくつろげる空間に変身/アフター
物がなくなり、家族みんながくつろげる空間に変身/アフター

 夜、彼女が家に帰ってから宿題を始めることも多かった娘は、今では帰った時にはやるべきことをすべて終わらせています。家がきれいになってからは、友だちを家に呼べることがうれしく、以前よりも家が好きになったようです。

「家の中の空気が変わった気がするんです。そのよい状態を、家族みんながキープしようと支え合っている感じで。みんなの心の余裕ができたと思います。コミュニケーションは前より円滑になって、会話も増えましたね」

 目標にしていたリビングはもちろん、ほかの部屋も見違えるほどきれいになりました。家族みんなで家での時間を満喫しています。

「なんであんなに散らかっていたのか、今となってはわかりません(笑)。もし今、物が雑然としていたら耐えられないですね。先延ばしにすると、片づける物が増えたりして自分が大変になるだけなので、すぐに片づけるようになりました」

 プロジェクト終了後は、職場も片づけました。スッキリとして、頭がよく働くようになったと言います。

「家の中はまだ改善の余地があるので、理想の生活に向けてブラッシュアップしていこうと思っています」

リビングから続く洋間は念願の娘専用スペースになりました/アフター
リビングから続く洋間は念願の娘専用スペースになりました/アフター

 そう笑顔で語る彼女に、「家の中に限らず、いろんなことがよい方向に進みそう」と声をかけると、「そうします!」と自信を持って断言してくれました。また自分との約束ができましたね。彼女ならこの約束を守ってくれるはず。

45日前に「こうなるといいな」と漠然と考えていたような彼女は、もうここにはいませんでした。

●西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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