週刊朝日 2022年10月28日号より

 13年を起点にマンションが“独歩高”を続けている。この年に始まった「異次元」の金融緩和や建築資材・人件費の高騰などが主因とされる。全国の不動産価格指数の推移を2010年平均を100とした場合、直近今年6月のマンションの指数は実に「180.1」。13年ごろは100台前半だったから、9年で7割以上値上がりしたことになる(冒頭のマンションを7割高としたのは、これによる)。

『60歳からのマンション学』の著者でマンショントレンド評論家の日下部理絵さんによると、この結果、今や中古マンションの相場は次のような事態になっているのだそうだ。

「東京なら築20年、大阪でも築10年ぐらいのマンションなら、新築で買ったときと同じかそれ以上の価格で売ることができます」

 築20年でトントンなら、それより築浅であるほど買値より高くなっているマンションが多いはずだから、首都圏でもかなりの人が自宅で「儲け」が出ていることになる。

「13年以降は新築の価格も右肩上がりですから、そのころ建った築10年前後のマンションが一番儲かると思います」(日下部さん)

 こんな話を聞くと、すぐ頭に浮かぶのがその「儲け」を「実利」に変えられないかだ。今のマンションを売却しての住み替えなどである。

「今のマンションを『終のすみか』だと思っていた人を含めて、もう一回、住宅を売買する需要が出てきているとも言えます。とにかく高く売れるマンションを『持っている人』は、それだけでチャンスがあると思っていい。この機会に自分の人生を見つめ直して、今のマンションにあと何年住み、最終的に自分は住まいをどうしたいのかを、もう一度考えるべきだと思います」(同)

 確かに、「持っていない人」には厳しい現実が待っているようだ。住宅専門のファイナンシャルプランナー(FP)の有田美津子さんが、

「新築のマンションをご希望なさっていて、いろいろ調べているうちに、あまりに高すぎるのでバカバカしくなって、戸建てに希望をチェンジした方がいらっしゃいました」

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