沖氏も「面積」を減らす「ダウンサイジング」は検討に値するという。
「子供が独立して世帯構成が変わっていれば、広さを我慢しても不都合は出ません。今のマンションを1億円で売って少し狭いところを7千万円で買う、こんなイメージです。面積を増やしてきたのは子供のためですから、その逆をすればいいわけです」
この場合も差額は「おまけ」として老後資金に追加できる。
もう一つ、「値上がりはしていたが、残債が多い」「思っていたほど値上がりしていなかった」などの理由で、住み替えは考えられないという結論に達した家庭も多いだろう。こうしたケースはどう考えればいいのか。
先のプレ定年専門FPの三原さんは、そんな人が多数派を占めるとした上で次のように言う。
「定年後は会社に行く通勤がないので、わざわざ都心に住み替える必要はありません。でも、暮らしは少しでも便利になったほうがいいので、余裕がある人なら『ふだんのお買い物が、よりしやすいところ』や『病院が近いところ』といった住み替えを検討なさってはいかがでしょう。地域内での住み替えです。これなら十分、現実性があると思いますよ」
ただし、そのさいは最終的に「おひとりさま」になったときに売却できる物件など、「出口戦略」を重視したほうがいいとのことだ。
どんな場合でも「住まい」に対する夢はあきらめたくないものだ。「儲け」がある人もない人も、夢を描き、それを実現する手段を考えたい。(本誌・首藤由之)
※週刊朝日 2022年10月28日号