と言えば、プレ定年専門FPの三原由紀さんも、

「コンパクトマンションの購入を検討なさっていた40代のシングル女性がいらっしゃいましたが、高い東京は最初から避けて埼玉の物件をお考えでした」

 と話す。なるほど、となると「持っている人」はなおさら「儲け」を活かす道を考えたくなる。いったい、どんな道が考えられるのか。

 その前に、今後のマンション市況を見ておこう。9年で7割以上も上がったのだから、「さすがに、このあたりがピークか」と思うのが自然だが、先の沖氏の予測は真逆だ。

「東京のマンションは、これまで年8%ペースで値上がりしてきましたが、同じペースでの上昇が少なくとも、あと4年は続きます。『8%』は13年時の価格がベースですので、今の価格をベースにすると年5%が4年、つまり今の価格からさらに2割上がることが確実です」

 なぜ、そんなことが言えるのか。

「日銀が行っている金融緩和政策です。今回の値上がりは13年の異次元緩和がきっかけでしたが、異次元で始めてしまったがゆえに、その『出口』でハードランディング路線をとることは絶対にできないと思うのです。資産が下落すると高齢者の生活を直撃するなど、政情不安を招く事態になりかねませんから。来年春に日銀総裁は交代しますが、現在の路線と違う政策は始められず、少なくとも1年間は今と同じ路線が続くと見ています」(沖氏)

「日銀総裁の交代から1年」だから、つまり24年までは今と同じ金融緩和政策が続く。

「それにマンション業界の慣行が加わります。ディベロッパーがマンション用の土地を仕入れてから販売するまで、最低2年はかかります。すると24年に仕入れた土地でマンションを販売するのは26年です。つまり、そこまでの販売政策は今と同じ金融緩和の下で行われるわけで、だからこそ26年までの4年は今の上昇傾向が変わらないと見るわけです」(同)

 さらに、その後、金融政策が変わったりして仮にマンション価格がピークアウトしても、急落することはない、と沖氏は見ている。

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