
立場によって、人の視点は変わります。社会の少数派や非主流に属しているときは、排除に傷つき、不安を感じるものです。
多数派や主流に属しているときは「私は差別なんかしていないよ。そんなにいつまでも人との違いを気にしなくてもいいのに」と、相手に苛立(いらだ)つかもしれません。ないと思っていても、偏見は必ずあるもの。差別はしようと思ってするものではないことがほとんどです。
多様性は半径2メートルの中にあります。それに気づくのが誰もが安心できる社会づくりの第一歩。同時に、日本でも包括的な差別禁止法の整備が不可欠です。
◎小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。寄付サイト「ひとりじゃないよPJ」呼びかけ人。
※AERA 2022年10月3日号