須江航(すえ・わたる)/ 1983年、埼玉県生まれ。仙台育英では2年生の秋から学生コーチになり、3年時の2001年に選抜準優勝。八戸大(現・八戸学院大)卒業後、仙台育英の系列校・秀光中等教育学校を経て、18年1月に仙台育英の監督に就任。データを駆使した指導が特徴。情報科教諭。(撮影/写真映像部・東川哲也)
須江航(すえ・わたる)/ 1983年、埼玉県生まれ。仙台育英では2年生の秋から学生コーチになり、3年時の2001年に選抜準優勝。八戸大(現・八戸学院大)卒業後、仙台育英の系列校・秀光中等教育学校を経て、18年1月に仙台育英の監督に就任。データを駆使した指導が特徴。情報科教諭。(撮影/写真映像部・東川哲也)

──2018年から母校の監督に就任。その時点で、なぜ東北勢が100年以上優勝できないのかという分析と、その対策を立てられましたか?

 単純ですが、これまでの東北勢は夏の暑さの中で戦い抜く戦力が整っていなかった、と思います。

 投手は、2人と言わず3人以上投げられるように育成しないと歴史は変わらない、と思っていました。佐藤世那(仙台育英、15年選手権大会準優勝)も、菊池雄星君(花巻東、09年選抜準優勝)もですが、大エースが大連投してきてて、決勝に勝ち上がったとき疲弊してたんです。

 今年の140キロ台が5人いる投手陣は、そこに対応してのことです。

 野手も同じで、勝ち上がっていく中で疲弊していきますから、サッカーのカップ戦のように、半分休んで、ということが可能になるくらいの選手層と経験を積ませないといけない、と思っていました。9人でやるような野球はダメだと。

──チームスローガン“日本一からの招待”が有名ですが、監督就任当初から日本一狙いだったのですか?

 そこから逆算していました。とうてい無理な時代から(笑)。

──あえて聞きますが、2番ではダメなのでしょうか?

 2番に教育的な価値がないかというと、そんなことはない。負けから学ぶことがある、というのは当たり前の話です。

 部活動が本当の意味で教育的な価値を持つためには、勝利至上主義ではいけません。そういう組織は、勝つ、という目標はあるけど、なぜ勝つのか、という目的、どうありたいか、という理念がなかったりするからです。

 僕は子供たちに「目標とともに目的を持たないとダメだ」と、よく言っています。たとえば、医者になりたい……これは目標。じゃあ、なぜなりたい? 地域の医療を支えたい……それが目的。目標とともに目的を持つことで夢に対しての行動が具体的に変わっていくんです。

 野球部で日本一になりたい。何のため? 東北地方の根深い劣等感を払拭したい、という選手もいました。さまざまです。

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