※写真はイメージ(gettyimages)
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 ある日、ポストに入っていた「免許更新のお知らせ」のハガキ。──そうか、もうそんな時期か。いや待てよ? 「認知機能検査・高齢者講習」って書いてあるけど、なんだこりゃ?──現在、75歳以上の免許更新時に義務づけられている「認知機能検査」と「高齢者講習」。テストなのか? 合格しないと免許返納?と慌てる前に、まずはしっかり準備をしよう。

【図表】認知機能検査で使われる絵の問題はこちら

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 警察庁ホームページに掲載されている「認知機能検査(手がかり再生)」。合計16の絵を4分間で記憶する。次に数字に斜線を引く問題を1分間やり、先ほど覚えた16個の絵の名前を回答用紙に記入する。最初はヒントなしで、次にヒントありで、検査時間はおよそ30分。

 実際にやってみると覚える絵が多く、かなりハードルが高いのではなかろうか。記者(52歳、ペーパードライバー歴20年)も予備知識なしで挑戦したところ問題の多さに焦り、現在の年月日や曜日を答える「時間の見当識」問題と合わせてギリギリ合格ライン。冷や汗をかいた。

「どんな問題がどのくらい出るかを事前に知っておかないと、パニックになって失敗してしまう方が多いんです」

 と話すのは、自動車運転免許研究所の長信一さん(60)。元・教習所指導員としてのキャリアを生かし、運転免許関連の書籍を200冊以上手がけているスペシャリストだ。

 そもそも75歳以上が受けなければならない「認知機能検査」、そして「高齢者講習」とはどういうものなのか。

 70~74歳が免許を更新する場合は、全員に「高齢者講習」の受講が必要だ。安全運転の基本を聞く講義(座学)、運転適性検査(機械により視野や反射神経を調べる)、実車指導で計2時間。これは試験ではなく、受講すれば免許は更新できる。費用は普通運転免許保持者で6450円。

 75歳以上になると全員に先ほどの「認知機能検査」が義務づけられる。費用は1050円。「手がかり再生」はヒントなしで一つ正解すると2点。ヒントありで1点。「時間の見当識」を全問正解すると15点。合計点が36点以上だと合格で「高齢者講習」を受講して免許更新となる。が、36点未満だと「認知症のおそれあり」と判定され、「臨時適性検査」(専門医の診断)を受けるか医師の診断書の提出が必要になる。

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