では、具体的にどうすれば、心が自由になるのでしょうか。その一つの方法は気功だと、私は思っています。

 気功とは、「調身」「調息」「調心」が一体になって成り立っています。「調身」とは身をととのえること。上半身の力が抜けて、下半身に気力がみなぎっている状態にします。「調息」は呼吸をととのえること。吸気よりも呼気が主役になります。呼気に気持ちを込めます。

 この身をととのえて、呼吸をととのえることによって、心もととのって不動智に近づくのです。

 といっても、そう簡単ではありません。私も毎朝、気功の一種である太極拳をやっていますが、24の動作のどこにも心を留めずに、無心に動くというのは難しいのです。でも、それを毎回、目指しています。

 呼吸法を試してみてもいいと思います。息を吐くときに、「吐くぞぉ!」と気持ちを込めて、その吐いた息が虚空に広がっていくのをイメージするのです。すると心が軽くなります。いずれにしろ、心がどこかにとどまった状態にならないように、気をつけましょう。

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

週刊朝日  2022年9月23・30日合併号

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帯津良一

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帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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