※写真はイメージです (GettyImages)
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「幽霊」というとオカルト的なイメージもあり敬遠されがちな話題だが、亡くなった大切な人の存在を見たり感じたりする現象が起きるのには、ある理由が考えられるという。研究者や学生が収集した様々な事例を元に、その真相に迫った。

【図解】体外離脱体験や臨死体験は脳の「側頭頭頂接合部」の活動で引き起こされる

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 亡くなった家族の気配を身近に感じる。その姿を見たり、声が聞こえたりすることもある。医学用語で「悲嘆幻覚」という。大切な人を亡くした時に現れる「悲嘆反応」の一つで、悲しみ、孤独感、怒り、不眠などとともに誰にでも起こり得る現象だ。

 1970年代の論文によれば、配偶者を亡くした293人に聞き取り調査した結果、死別した配偶者が現れたり、気配を感じたりしたことがあると答えた人が約47%に上った。社会的孤立や精神疾患の有無とは関連がなかったという。

『死の医学』(インターナショナル新書)の著者で獨協医科大学病院の脳神経内科医、駒ケ嶺朋子さんはこう解説する。

「論文では、大半の人は問われるまで誰にも話さなかったと報告されています。一般的には知られていないだけで、ありふれた現象と考えられています。中には亡くなった配偶者と会話ができ、仕事のアドバイスをしてもらっていると答えたという事例もあります」

 悲嘆幻覚には向精神薬は無効で、むしろ本人にとって精神的な安定や救いになっていることもあるという。駒ケ嶺さんはこれまでの診療経験から、家族や親しい人を亡くした時に強い悲嘆反応が起きるのは普遍的なことで、だいたい2カ月ほど続くことが多いと感じている。

 ある認知症患者は毎日、血圧測定記録をつける習慣があった。認知症のため息子を亡くしたことをまるっきり忘れていたが、息子の死から2カ月間にわたって、高血圧が記録されていた。これも悲嘆反応と考えられるという。

「お子さんの死をエピソードとしては語れないけれど、別の記憶の回路がその悲しみをモニターして、血圧の変化となってあらわれたんでしょう。忌中の四十九日もだいたい2カ月ですから、この日数は、古くからの経験則によるものだと推測しています」

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