■全国地方新聞社ふるさとブックフェア

 ご当地本の一翼を担う地方新聞社。発行する書籍は、どれもクオリティーが高い。それらを一堂に集めて展示・販売するのが「全国地方新聞社ふるさとブックフェア」。共同通信社に加盟する全国の新聞社の出版部門が参加し、1972年に設立された全国新聞社出版協議会が事務局だ。

 10月2日まで「ふるさとブックフェア in 岡谷」と銘打って開催中なのは、長野県岡谷市の笠原書店岡谷本店だ。

「32社のイチ押し作品を約540タイトル、1600冊ご用意しました。鉄道、人物伝、グルメなどジャンルは幅広く、大型書店でも置いていない珍しい本ばかり。遠方からもご来店いただいています」(笠原新太郎社長)

 同店のフェアは6年連続。会期中の著者トークイベントも好評という。

「今回は終了しましたが、これからも読者と著者を直接つなぐ場所にしたい」(同)

 松江市の今井書店グループセンター店は7月23日~8月21日にフェアを実施した。主管の山陰中央新報社出版部・須田泰弘さんが振り返る。

「今年で6回目。毎年楽しみにされている常連客もいらっしゃいます。地方での出版も大変厳しい状況ですが、『本の文化を絶やしてはいけない』という使命感もあって一生懸命取り組んでいます」

 開催予定は同協議会のホームページで。

■ブックインとっとり地方出版文化功労賞

【奨励賞】『秘傳 鱧料理 百菜 改訂』(朝尾朋樹 京都新聞出版センター)5500円

料理界に大きな足跡を残した料理人・朝尾朋樹氏の名著。鱧料理の神髄を写真とイラストでわかりやすく解説。

【奨励賞】『本とみかんと子育てと 農家兼業編集者の周防大島フィールドノート』(柳原一徳 みずのわ出版)3300円

元新聞・テレビ局記者だった著者が山口県周防大島町に移住し、みかん農家と一人出版社を経営する日々を描く。

【特別賞】『スマホで見る 阪神淡路大震災 災害映像がつむぐ未来への教訓』(木戸崇之、朝日放送テレビ西日本出版社)1650円

著者は朝日放送の「おはよう朝日です」で気象情報デスクのほか、「人と防災未来センター」のリサーチフェロー。

 地方の出版社を対象に、優秀な出版作品を毎年顕彰するのが「ブックインとっとり・地方出版文化功労賞」だ。

「1987年に開かれた『本の国体-ブックインとっとり・日本の出版文化展』を引き継ぎ、88年から地方出版文化功労賞を制定して表彰しています。図書館と書店が競合するのではなく、手を取り合って共に読書推進、地方出版振興を目標としているところが一番の特徴ですね」(事務局の鳥取県教科図書販売・小谷悦久さん)

 東京の出版社は除外し、第1次選考が一般市民の投票で決まるので、鳥取県内の出版社も対象外だ。選考は厳しく、大賞にあたる功労賞に該当作がない年も。

 今年の展示会は11月1~6日に鳥取県倉吉市の倉吉市立図書館で開催予定。県外在住者でも会場で投票可能。詳細は実行委員会のホームページで。

(企画・構成/ル・ピック=高鍬真之、青木光)

週刊朝日  2022年9月23・30日合併号より抜粋

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