【和歌山】「かける」ことは不都合なの? 窮屈な社会をオブラートで包む絵本
『マルコはブランコにのって』(にしかわなおこ 文芸社)1320円
大谷書店(御坊市) 粂田貴子さん
著者は和歌山県出身で2009年に『魚かもしれない』を出版! まだ書籍化されていませんが、21年有田川町絵本コンクールで「もりやまさんと まちやまさんは」が最優秀賞に選ばれました。
ある夜、まん丸ではなく少し欠けた石のマルコは、「ぼくも まるく なりたいな」とブランコにのって旅立ちます。旅の途中で「かけた」仲間にも出会いますが、マルコとは同じ思いではなくて……。そして、辿り着いたお月様により真実が知らされることに!
本当に素敵な絵本で、ぜひ親子で手にとってほしいです。イラストの可愛らしさや美しさに何度も読み返したくなるでしょう。
【鳥取】江戸時代から明治時代まで8代続いた大庄屋の全貌!!
『国指定重要文化財 河本家の歴史と家屋のすべて』(河本家保存会 今井出版)1800円
今井書店 本の学校(米子市) 津田千鶴佳さん
「河本家」は、鳥取県西部に位置する琴浦町において大庄屋などの要職を務め400年の歴史を貫いてきた旧家。建物は国の重要文化財に指定されています。同家には多くの古文書が残されていますが、その量があまりにも膨大であり、一方、記述が曖昧なため、歴史の詳細は不明でした。しかし長年にわたる調査研究において事実が突き止められました。
本書は、「東伯耆の豪家 河本家四百年の歴史」「重要文化財 河本家住宅」の2編の論文で構成され、河本家の歴史・家屋について集大成となる一冊です。
【島根】四季折々、多彩な表情で魅了する水都・松江を遊覧船でめぐる旅
『親子で学ぶ 堀川遊覧船と国宝松江城 ~川面から見る城と城下町~』(宍道正年 山陰中央新報社)1650円
今井書店TONOMACHI63(松江市) 文化講座 家島聖司さん
築城当時の姿を残す全国12城の一つ、松江城とその周囲に水を湛える堀川。どちらも松江を代表する観光名所です。
ラフカディオ・ハーンで名を馳せ、志賀直哉、芥川龍之介など多くの文豪が訪れ筆をとった城下町の見どころを、城と堀にスポットを当て解説。漢字にはルビが振ってあり、タイトル通り子供から大人まで楽しめる一冊となっています。また、意外と地元の人間も知らないことが多いこれら名所を、豊富な写真と絵で解説してあるので、この地を訪ねるご予定のある方には必携の一冊としてお薦めします。