前回、北海道から東海地区まで東日本エリアの各都道県の“ご当地本”27冊を紹介した大特集。今回は西日本エリアの23冊のうち、関西・中国地方から選りすぐりの11冊を紹介する。地元に密着した地方出版社ならではの良書を、地元書店の“目利き”“カリスマ”書店員、そして社長に1冊限定で選んでもらった。読書の秋にふさわしい好著との出会いがここにある!!
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【滋賀】第1回安藤忠雄文化財団環境賞受賞!! 中学生の著者は国際会議参加の魚博士
『はじめてのびわこの魚』(絵・文/黒川琉伊 能美舎)1650円(価格はすべて税込み)
サンミュージック ハイパーブックス(長浜市)仕入れ担当 北川あけみさん
琵琶湖博物館・高橋啓一館長推薦。2歳の頃から4000日以上、琵琶湖に通い続けた中学3年生・黒川琉伊君は大津市在住。ビワコオオナマズやビワマスなど琵琶湖固有の魚のほか、滋賀県周辺の河川に生息する魚50種を色鉛筆で鮮やかに描き解説した、さかな絵本です。
絵本制作のきっかけは、「琵琶湖の環境をまもりたい。だから琵琶湖を好きになってくれる人を増やしたい」という琉伊君の熱い気持ち。
子どもだけでなく、大人にとっても自然環境について考えるきっかけとなる一冊です。
【京都】幕末期のオーソリティーが紹介する選りすぐり“歩く”史跡ガイド
『関西・幕末維新の史跡50選』(木村幸比古 淡交社)1980円
犬石書店(南丹市) 犬石吉洋社長
今からおよそ170年前の江戸幕末。ペリー来航に始まる「近代の夜明け」の激動期に、京都を筆頭とする関西2府4県の各藩はその政治の動乱の中心だった。
幕府、朝廷、薩長土肥ほか雄藩の思惑と行動が複雑に交錯するなか、彼らはそれぞれの立場から日本の未来をどう描き、何を訴えたのだろうか。
平易な解説、豊富な写真資料、最新の交通アクセス情報が詰め込まれているこの一冊を片手に、幕末・維新の息吹を感じる関西の歴史散策をしてみては?
「読む幕末」ではなく「歩く幕末」を体感せよ。