「高校生からすれば聞き慣れない言葉だと思いますが、逆に『何をやっている学部なんだろう?』と気付いて注目してほしい。スポーツへの関わり方は競技だけはないことをあらかじめ知った上で受験してもらえればと思います」
後者「やむを得ず」パターンの場合、「他に適切な名称がなかった」という理由が見られた。武蔵野大学の西本照真学長は言う。
「本学では19年にデータサイエンス学部、21年にアントレプレナーシップ学部、そして今回のサステナビリティ学科と、カタカナ名の学部が続けて誕生していますが、決して奇をてらっているわけではありません。『未来に向けた実践者を育てる』という願いを伝える時に、漢字ではどうしても固定的なイメージになってしまう。結果として、シャープな響きを持ったカタカナ名称が採用される形になっています」
前出の進研アド担当者は言う。
「学部学科の新設に大きな影響を与えるのが、国の施策です。文部科学省はデータサイエンティスト育成事業やSDGs達成のための教育推進に向けた取組に力を入れており、このことが『データサイエンス』や『サステナビリティ』といった学部学科の増設にもつながっています。元になった国の施策が『カタカナ』だったから、学部名も『カタカナ名称』になった側面はあるでしょう」
多くの大学が取り入れることにより、珍しさも薄らぎつつあるカタカナ学部・学科。だが、入学後を見据え、留意したい点もある。前出の石渡さんは言う。
「学部名の影響が表われやすいのが、就職活動です。カタカナ学部・学科の場合、企業の採用担当者から学部名を聞き直されたり、何をする学部なのかを突っ込まれることも珍しくありません。もちろん、カタカナの学部・学科名自体に問題はないのですが、種類が増えるに従い、わかりにくいものも増えてきていることは否めません。大学関係者には先を見据えた判断が求められると思います」
入学後のミスマッチを防ぐためにも、教育内容や過去の就職実績を踏まえ、進路選択は慎重に行ってほしい。
(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日オンライン限定記事