研究領域は人間の脳内で起こる現象を扱う「知能認識」、身体内の現象を扱う「メディカル機能」、筋肉・骨などの動きを研究する「運動ロボティクス」の三つに分かれ、これとは別に必修科目として「デザイン思考」に関する科目群が設けられる。後者について、学科主任(予定)の曽我公平教授はこう説明する。
「『デザイン思考』というのは、前例がない問題や未知の課題にこれまでにない視点から答えを出す発想法で、三つの領域を融合する役割を担います。受験勉強では限られた時間の中で、答えがある問題を早く解くことに力点が置かれますが、これからの時代は未知の課題に自らアプローチする方法を学ぶことが不可欠だと考えています」
「持続可能な開発」のための国際的目標を示す「SDGs」への注目から、近年発展しているのが、地球規模の課題に学際的な視点でアプローチする「サステナビリティ学」という学問分野だ。
武蔵野大学(東京都西東京市)では工学部環境システム学科の募集を停止し、代わりに「サステナビリティ学科」という新たな学科を設置する。
「『SDGsウォッシュ』(見せかけ)と言われないよう、理論や理念をもった学科を作っていくつもりです」
学科長の白井信雄教授は、新設に込めた決意をこう語る。19年、「武蔵野大学SDGs実行宣言」を発表。1年次の全学共通基礎課程を「武蔵野INITIAL(イニシアル)」にリニューアルし、SDGsに関する教養科目を必修とした。SDGs関連科目は各学部の教員が持ち回り形式で担当しているが、大学全体のSDGsの取り組みを牽引する役割を期待し、サステナビリティ学科の設置に至った。
課題解決型の授業を重視し、環境システム学科時代から設置していた「サステナビリティプロジェクト」という演習科目を拡大。1週間のうち400分を充てる。これまでには、大学の屋上でのコミュニティガーデン運営や、大学のあるエリアで人と人のつながりを生み出す地域通貨の実験などが行われてきた。