イラスト:サヲリブラウン
イラスト:サヲリブラウン

 しかし、現時点でそれについての相談が多いならば、これらの評価軸がうまく運用できていない現場が多いとも言えるのではないでしょうか。

 個人的には、誰もが主体的に目をキラキラさせて働く必要もないと思うんですよね。私だって死んだ魚のような目で原稿を書いている日はある。成長だの目標だの言っていられないときのほうが多いと言えます。仕事の内容を変えて、たとえば私が専業主婦になり、家事育児をその2軸で評価されたら、気が滅入ってしまうに違いありません。

 結局は、目の前のタスクをできるだけ障害が少ない環境でコツコツやっていくしかない。それが仕事だと思います。

 売り上げを作り存続し続けるのが企業の使命。そのために社員は働き、働いた分の給与が発生する。このサイクルを回すのに、新しい視点軸が必要になったのかも。

○じぇーん・すー◆1973年、東京生まれ。日本人。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。著書多数。『揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ』(朝日文庫)が発売中

AERA 2023年1月23日号

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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