タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
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先週号の「おじ友問題」の記事を興味深く読みました。独身中年男性たちが友だちの作り方がわからず悩んでいるという「独身おじさん友達いない問題」、略して「おじ友問題」。ネットで話題になっていたのですね。
記事ではおじ友問題で「余計なお世話だ」「放っておいてくれ」と怒る人と、「友だちがいなくて寂しい!」と明るく言える人との違いに注目していました。孤独な男はかっこいいとか、弱音を吐くのはみっともないとか、いろんな美学……というか世間体もあるのだと思います。誰しも大人になってからは、学生時代のような自然な友人関係は築きにくいものですよね。
今年50歳になった私は、中年期以降に大切なのは素直さだよなあとつくづく思います。男性も女性もです。半世紀も生きればそれなりに経験も積むし、この年で分別も見識もないのは恥ずかしいしな!などと妙な気負いを感じやすいお年頃。でも、知らないことを知らないと言って人に尋ね、間違っていたらごめんなさいと謝り、好きなものを好きと言い、会いたい人には会いに行き、うれしいときには「ありがとう!」、楽しいときには「楽しいなあ!」と笑い、孤独を感じたら「ああ寂しい」と呟(つぶや)いてやせ我慢しない……ってとても大事なことだと思うのです。