ネットでは、「ニュースの最後に“心の相談窓口”を出すのは、亡くなった著名人の死因を自殺と断定する印象操作だ!」と怒っている人も時々目にします。相談窓口の情報を出すのは、メディアの印象操作ではなく、WHOのガイドラインに則った配慮です。著名人の突然の死は、多くの人にショックを与えます。つらい状況にある人が、報道がきっかけで思い詰めてしまうこともあるので、相談窓口などは人の命に直結した情報なのです。
今は誰でもネットで匿名発信できます。いわば、市民全員がメディア関係者。プロでなくても、間違った情報発信や拡散をしないために、ぜひ「WHO自殺報道ガイドライン」を検索して、やるべきこと・やってはいけないことを覚えておきましょう。ハッとすることもあると思います。
小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中
※AERA 2022年1月3日-1月10日合併号