松坂大輔を擁した1998年以来の全国制覇を狙う横浜(神奈川)にも2年生の好左腕がいる。杉山遥希だ。昨夏の第103回大会では1年生ながら名門のエースナンバーを背負った。大会後の秋から事実上のエースとなり、2年生にしてすでに3季続けてエースを務める。

「横浜のエースというのは重圧がものすごい。かつて及川雅貴(現・阪神)もその重圧に耐えかねて、涙ぐんでいたことがあった。杉山君は踏んだ場数の多さもあるだろうが、マウンド上では落ち着き払っていて貫禄がある。取材に対する受け答えにも頭の回転の速さが見て取れて、2年生とは思えません」

横浜・杉山遥希
横浜・杉山遥希

 杉山は神奈川大会決勝の東海大相模戦を完封するなど、激戦区を防御率0点台と抜群の安定感で乗り切った。杉山以外にも昨夏の甲子園を経験した選手は多く、打線とかみ合えば頂点も見えてくる。

 安倍さんイチオシの投手は、一般的には知名度がそれほど高くないものの、「絵に描いたような本格派」と激賞する富島(宮崎)の日高暖己(3年)だ。

富島・日高暖己
富島・日高暖己

「150キロ近い快速球に、スプリット、フォークなど、すべてが決め球になるほどの質の高さ。タイプとしては広島カープ時代の前田健太(現・ツインズ)を彷彿とさせます」

 宮崎大会の全5試合で先発。初戦以外は一人で投げ抜くなど、スタミナもある。

「まだ体も細いが、伸びしろも十分で、ドラフト1位もあると見ている」

開幕日の第3試合で敗れたものの、左腕投手の森下瑠大(京都国際・3年)の名前も挙げておきたい。昨夏は2年生エースとして同校を夏の甲子園初出場に導き、4強入りに貢献した。

京都国際・森下瑠大
京都国際・森下瑠大


「昨年の京都国際は完全に森下のチーム。完成度は2年生の時点で最高峰でした。最終学年になっても、全国で抜けた存在なのは変わらず、さらなる進化も見られる。走者を背負ったときの制球力です。特に右打者の外角低めへの直球。“ギアが上がる”とよく表現されるが、彼の場合は“別人になる”」

 ピンチの場面で制球を乱す投手は多いが、森下にそうした場面はほとんど見られないという。さらに、スライダーにツーシームなど、多彩な球種も魅力。

 この夏は左ひじを痛め、京都大会での登板は2試合だけ。選手権大会初戦の一関学院戦で先発したが、3回4失点とやはり本調子ではなかったか。

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