日本に数多くあるラーメン店の中でも、屈指の名店と呼ばれる店がある。そんな名店と、名店店主が愛する一杯を紹介する本連載。松戸・みのり台でハイクオリティーなラーメンを繰り出す店主が愛する名店は、車屋から開業資金70万円でラーメン屋に転身した男のDIYな名店だった。
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■コロナをきっかけに売り上げが安定
千葉県松戸市稔台、新京成線みのり台駅から徒歩1分のところにある「麺響 万蕾(めんきょう・ばんらい)」。魚介を巧みに使ったハイクオリティーなラーメンで、「TRYラーメン大賞」の新人大賞煮干し部門3位、「ラーメンWalker」の新店部門2位を受賞し、開店3年目ながらエリアを代表する人気店となっている。
看板メニューは「白醤油ラーメン」。シジミ、アサリの印象的なうまみに4種類の煮干しを合わせ、まろやかな白醤油でまとめた一杯だ。全体的なバランスがうまく取れていて、複合的なうまみが広がり、オリジナリティーあふれる一杯になっている。
店主の高野翼さんは、かつて友人と藤沢で食べた「RAMEN 渦雷(うずらい)」のラーメンに衝撃を受け、32歳でラーメンの世界に入る。「渦雷」での修業を経て、その後独立。親戚が松戸で営む居酒屋の営業時間外の“間借り”で「麺屋 GONZO」を始めた。この店が好評だったことを受けて、場所をみのり台に移し、改めて2019年12月、「麺響 万蕾」をオープン。土地勘もなく勢いで店を開いたが、口コミや賞の受賞もあり、徐々にお客が増えていった。
その後、新型コロナウイルスの影響で飲食店は大きな打撃を受ける。「万蕾」も同様、経営が厳しくなると思われたが、その心配と裏腹、コロナ禍で客足は増えていった。
「家でのリモートワークが増えて、みのり台に住んでいる方々にたくさん食べに来ていただけるようになったんです。ベッドタウンということもあり、コロナ禍で逆にお客さんが増えた形ですね」(高野さん)
都心ではないエリアの店は地元に根付くことが重要だ。「万蕾」はコロナをきっかけに地元のお客さんが増えたことで、売り上げが安定していった。
「今のところラッキーでここまで来た感じはありますが、お店を継続することでだんだんクオリティーを上げていきたいと思います。これからは言い訳を無しにして、コンスタントに杯数を出せるようにしていきたいです」(高野さん)
地元に根付いた店として「万蕾」の第二章が始まる。そんな高野さんの愛する名店は、車屋から転身した店主が開業資金70万円でオープンした手作りの店だ。