勉強会のある日、出席していた方から「お久しぶりです」と声をかけられました。失礼ながら全く見覚えがなく考えていると、意外な答えが返ってきました。

■10年前の自分救われた

「実は10年前に障害福祉の担当をしていて、江利川さんが息子さんの幼稚園を探して何度も何度も窓口に来られていたのを見ていました。あの時、すごく切実な訴えだったのに何もできず、ずっと息子さんのことが頭に残っていました」 

 当時は協力してくれる場所を必死に探したものの、結局見つけられず、絶望の中でハワイへ行った経緯があります。今になって私たち親子を気にかけてくれた方がいたと知り、あの頃の自分が救われたように思いました。10年経って、まわりまわって再会したのかもしれません。

■ピアサポート届けたい

 現在、私にはとても心強い仲間がいます。マヒノミと呼ばれる障害のある子どもを育てるママと当事者の女の子のチームで、かるがもCPキッズのピアサポーターとしても活動しています。マヒノミの『マヒ』は、なんと脳性まひのマヒです。子どもの病気さえも笑いに替えて飲んでしまおう!という意味が込められており、とにかくみんなよく笑い、よく飲みます。コロナ禍ではなかなか従来のように集まれませんが、今年こそは、大好きな友人たちと気兼ねなく会える世の中に戻ってほしいと願っています。

 もちろん、マヒノミの友人たちも、最初からすべてを笑いに替えられた人はいません。孤独の怖さや障害を受け止めたどん底を知っているからこそ、今赤ちゃんを抱えてどうすればいいのかわからないママたちに真剣に寄り添い、一緒に考えたいと思えるのです。

 そして、ピアサポートを通じて前を向くことができたママが、次の世代のママたちのサポーターとなりつながっていくことが、孤立をなくすためには不可欠です。この輪を広げていくことに、これからも力を入れていきたいと思っています。

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