1月2日で2843日目になったと高氏さん
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 ほぼ毎日、パンダの写真を配信し続けるブログ「毎日パンダ」。上野動物園に通う運営者の高氏貴博さんが、パンダの愛おしさを語った。

【写真】高氏さんが撮影した「てへっ」とポーズをとるシンシンはこちら

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 パンダを撮影し始めたのが2011年8月です。10年半近くになりました。職場が上野で、仕事の空き時間に上野動物園にふらっと入ったのがきっかけです。入園料が600円で年間パスポートが2400円。近くだから4回以上は来るだろうと年パスを買いました。

 パンダを見たら、やっぱりかわいい。ストレスを抱えることも多い仕事ですが、パンダはのんきに過ごしている。単なる暇つぶしのつもりだったのに、結局その日は4回も列に並んで夢中で写真を撮りました。

 特段、動物好きではないのですが、カタチがユニークだし、動きも人っぽい。ただかわいいだけでないところが刺さりました。もう一目惚れです。

 そして次の日も、また次の日もパンダを見に行きました。カメラはウェブ制作の仕事で撮影することもあるので常に持ち歩いています。撮り始めは日記みたいな軽い気持ちでやっていましたが、1カ月後くらいに「毎日パンダ」としました。

「てへっ」とポーズをとるシンシン(撮影・高氏貴博さん)
「てへっ」とポーズをとるシンシン(撮影・高氏貴博さん)

 ほぼ毎日、開園前から並んで午前中にパンダを撮影して午後から仕事です。毎日見ていると、その日の気分や体調がなんとなくわかるような気がしてきます。今日は機嫌がいいなとか、体が重そうだなとか。

 いい写真を撮るには、こんな写真を撮ろうと決めないことです。その日、そのときに出会ったパンダを撮ること。ベストポジションを独占しすぎないこと。動物園は小さな子どもたちも来ますので、その子たちの邪魔をしないように配慮することも大切です。

 パンダに限らないのですが、ストレスを与えないように一番気をつけて私が木や石のように思われるようにしています。

「毎日パンダ」を始めていろんな方々から声をかけていただくようになりました。写真集も10冊出しました。この収入は「ジャイアントパンダ保護サポート基金」に寄付しています。自分の活動がパンダのサポートに使われるのは光栄です。

 毎日、パンダに会いに行き、何枚も何枚も写真を撮っていますが、動物園を後にすると、「ああ、今パンダは何をしているのかなあ~」と気になり始めて、すぐに会いたいという気持ちになります。だから上野動物園は家に帰るような感じです。

 パンダはもう家族の一員のようなものですね。

(構成/本誌・鮎川哲也)

週刊朝日  2022年1月21日号