「感染対策でレジの人がゴム手袋をするようになりました。でも、手袋をしたままお金を受け取りさらに商品も触っていて、汚いと思いました。床に置かれたかごも、それを重ねているのかと思うと気になって、商品を洗いたくなりますが、どうにか自分をコントロールしています」
自分のなかで消毒に対する要求度が上がり続けているような気さえするという。
仕事内容より感染対策
仕事に影響が出る人もいる。都内のキャリアコンサルタントの40代女性はこんな経験をした。
「ある求職中の女性が面談に来たときのことです。そこに消毒液があったのに、わざわざバッグから持ち歩き用の消毒液を取り出しました」
清潔にこだわりがあるのかなと思ったが、それが職場探しにも影響を及ぼした。
「換気設備はどうか、感染対策の体制はどうかという質問ばかりされました。仕事内容以上に気になっているようでした」
潔癖症が強まる背景はなんなのか。前出の井上さんが話す。
「さまざまな要素が混ざり合っていますが、性格と環境、ストレス、生活習慣の足し算で発症します。原因ははっきりとわかっていませんが、落ち着きや幸福感をもたらす神経伝達物質のセロトニンの分泌が少なくなっているという仮説があります」
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2022年1月17日号より抜粋