「ミーレは食洗機本体だけで40万円近く、さらに工事費なども入れると56万円。正直『皿洗いに50万円以上!?』とためらいましたが、これで洗う手間がなくなると念じて決断」
決めたはいいが、コロナ禍で食洗機がかなり品薄になっていた(現在、少し回復)。
「21年秋頃はネットで検索しても在庫がなく、リフォーム会社にもお手上げと言われて。仕方ないので海外の食洗機を取り扱っている会社に一軒一軒電話しました。そのうちの一軒に、入荷したばかりのものが一つ残っていたので、その場で電話注文」
品薄になっていたのは食洗機だけではない。前出の小池さんによると、目立って足りないのはトイレだそう。最近は、「ウッドショック」と呼ばれる木材の高騰により無垢材も手に入りづらい。鋼材価格も21年に入り急騰しており、「アイアンショック」という名が付いた。
■複数見積もりは必須
そんな中、大手住設メーカーのLIXILは、住宅用建材、設備機器の22年春からのメーカー希望小売価格の改定を発表した。「原材料価格の上昇」が理由だ。ユニットバスは4~39%、キッチンが2~11%など。値上がり前に駆け込みリフォームを敢行したいものだが、慌ててはいけない。
まずは信頼できそうな複数の会社に見積もりを取るのが鉄則だ。都内に住む女性は大手と中小で全く同じ見積もりを取ったが、価格には約3倍の差があった。工期も中小は6日、大手は2週間強~3週間と出た。
なぜ3倍もの差が出るのだろう。小池さんによると、
「大手は品質管理のため、工程ごとにチェックを入れる場合も多いと聞きます。中小は担当者が現場にいるので、別でチェックする必要がありません」
大手が中小の施工業者に実際の工事を頼むケースも多く、これも価格差が生まれる要因になる。見積もりは原則無料だが、いざ中身をみると、「一式代金○○○万円」と内訳のない見積もりを出すところも多い。詳細な数字は有料とするリフォーム会社もある。できれば部材の種類や分量まで細かく提案してくれるところを選びたい。(住宅問題ジャーナリスト・山下和之、編集部・中島晶子)
※AERA 2022年1月17日号