これまでに数多くの外国人選手が来日しているが、その中には、野球に一生懸命取り組む真摯な姿勢でファンの記憶に残る“愛すべき助っ人”もいる。
その代表格が、2012年に巨人入りしたボウカーだ。
メジャー通算17本塁打ながら、09年に3Aで打率.342、21本塁打の好成績を残すなど、“左のマートン(元阪神)”をイメージさせ、DeNA移籍のラミレスに代わる新4番候補と期待された。
入団会見で「常に100%っていうのが、オレの信条。練習も試合も100%でやるところを見てほしいね」と全力プレーをアピールしたボウカーは、3月14日のオープン戦、広島戦で同点2ランを含む3安打と打棒爆発。巨人が自前で獲得した助っ人では久しぶりの大当たりを予感させ、野球情報サイトにも、巨人ファンと思われる「ボウちゃん欲しい?ん?あーげない」の書き込みもお目見えした。
ところが、シーズンが始まると、27打席連続無安打と絶不調に陥り、打率も.037まで降下。5月8日のDeNA戦で初アーチを記録するまで巨人の助っ人では歴代ワースト2位の95打席を要するありさまだった。
だが、野球を教えてくれた父の「報われなくても、いつか訪れるチャンスに備えて手を抜くな」の言葉を胸に刻み、2軍に落とされても腐ることなく、ジャイアンツ球場まで電車で片道1時間以上かけて通勤。思うような結果を出せず、苦しいときは、小石川後楽園や浜離宮などの日本庭園に足を運び、来日時の「大好きな日本で成功したい」の志を思い出した。
1年目は打率.196、3本塁打に終わったが、こうした努力が、ポストシーズンで結実する。
ギリギリでメンバー入りしたCSで10打数5安打。日本ハムとの日本シリーズでも、第1戦で左対左を苦にせず、吉川光夫から試合を決める3ラン、第5戦にも先制2ランを放ち、3年ぶりの日本一に貢献した。
この活躍で首がつながったボウカーは「ファンを裏切ったままでは帰れない。チームに残れるならお金は関係ない」と50%ダウンの年俸3000万円で契約更改。2年目は打率.262、14本塁打を記録した。
翌14年は楽天でプレー。16年からBCリーグ福島に3年間在籍しながらNPB復帰を目指したことでも知られる。