(AERA 2022年1月24日号より)
(AERA 2022年1月24日号より)

 感染させてから3日目に、鼻腔と肺で、感染性を持ったウイルスの濃度を調べたところ、鼻腔内のウイルス濃度はデルタ株もオミクロン株もほぼ同じだった。一方、肺では、オミクロン株の濃度は、デルタ株の少なくとも10分の1以下だった。

 ハムスターの呼吸の状態を調べたところ、デルタ株に感染させると、感染後3~7日にかけ、息苦しさの原因となるような気道の収縮が増えるのに対し、オミクロン株では感染の前と後で変化はなかった。また、従来株に感染させた場合、感染していないハムスターに比べて呼吸数が減るが、オミクロン株の場合には変化が無かった。

 感染後7日目に、小型動物用の小型CTで肺を撮影し、線維化などの異常が起きていないかどうかも調べた。デルタ株に感染させたハムスター4匹はすべて、ヒトの重症化した新型コロナウイルス感染症でよくみられるような肺炎の症状が起きていた。一方、オミクロン株に感染させた4匹は、軽症か中等症の肺炎しか起きていなかった。

■感染6日100分の1

 動物の肺炎症状が重くなるほど数字が大きくなる評価尺度で評価すると、感染していないハムスターは0、デルタ株に感染させたハムスターは約12なのに対し、オミクロン株に感染させたハムスターは約2と、重症度が低かった。

英国のリバプール大学などの研究チームは昨年末、マウスを使った実験でオミクロン株とデルタ株などの健康影響を比較した結果を発表した。感染後5日目まではどのウイルスに感染したマウスも体重が減少した。しかし感染6日目になると、オミクロン株に感染したマウスだけは体重が回復し始めた。6日目の比較では、オミクロン株に感染したマウスの体重減少は1割程度にとどまったが、デルタ株などに感染したマウスでは2割減っていた。

 感染後6日目の鼻腔や肺のウイルス量は、オミクロン株のマウスはデルタ株などのマウスの100分の1だった。肺の組織を解剖して調べると、オミクロン株に感染したマウスでは、デルタ株などへの感染に比べ、軽い肺炎しか起きていなかった。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2022年1月24日号より抜粋

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