——大勢の人に喜びを提供するという意味では、松本自身も「エンタメ界のヒーロー」と言える。これまでもコンサートの最高峰と言われる嵐のライブ演出を一手に引き受け、先月30日に東京ドームで開催された、ジャニーズ初のフェス「Johnny’s Festival ~Thank you 2021 Hello 2022~」では総合演出を務めた。

 いやいや、僕がヒーローなんておこがましいです。でも、こういうお仕事をしているからこそ、少しでも誰かの心の支えになったり、誰かの背中を押すようなことができたら、うれしいです。そんな願いを込めて、常にお仕事をしていますけどね。コロナ禍のここ2年は、特にその思いが強くなりました。今も少しずつ日常が戻りつつあるのかなとは思うけど、じゃあどの範囲でどのくらいのことができるのか、一歩一歩探りながらやっている感じですね。

自分に何ができるのか

——「誰かの支えになりたい」という思いは新ドラマも同じだ。

 社会派ホームコメディーと銘打っていることで、ちょっとトリッキーに見えるかもしれませんが、社会問題への提言とか、何かを批判したいわけではないんです。本当に描きたいのは人間愛とか家族愛とか、自分の身のまわりにいる人をいかに大切に思えるか、そのために自分に何ができるのかという本質的なところだったりする。実際にこのドラマに出てくるような問題を抱えている人がいたなら、物語の中でキャラクターたちがどう立ち回るのか、そのことによってどういうことが起こるのかを、エンターテインメントとして楽しんで見ていただきたい。見てくださった方の心をほっこり温めたり、少しでも明日に勇気が持てるような、そんなドラマになったらいいなと願っています。

(構成/ライター・大道絵里子)

AERA 2022年1月17日号

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