1月20日スタートのドラマ、「となりのチカラ」に主演する。自身とはまったく重ならない異色のヒーローと向き合いながら、仕事の醍醐味とチームの力について語った。AERA 2022年1月17日号から。
* * *
——ドラマ「となりのチカラ」は、「家政婦のミタ」「過保護のカホコ」など、独創的な主人公と、それを取り巻く家族の形を描くことに定評のある遊川和彦のオリジナル脚本作だ。今回は、思いやりと人間愛だけは人一倍あるが、何をしても中途半端ですぐオロオロしてしまう主人公が、同じマンションの住人たちの様々な問題に首を突っ込み、ほんの少しでも彼らの日常が良くなることを願って奮闘する姿を描く。そんな主人公、中越チカラを松本潤が演じる。遊川とは初タッグだ。
これを言うと怒られそうだけど、遊川さんは「怖い人だ」というウワサを聞いていたんです(笑)。でも実際にお会いするとまったくそんなことはなくて、大変な情熱を持った方だなぁ、という印象でした。そのとき「このドラマは、一つのマンションに暮らす住人たちが、それぞれ抱えている問題に真摯(しんし)に向き合う、チカラという人間を描きたいんだ」という構想を聞いてすごく面白いなと思いましたし、僕も遊川さんの作品を拝見していますので、仕事もイマイチ、決断力もなくて頼りない男が問題に向き合っていく姿は、遊川さんらしいドラマだなと思いました。
ただ、準備稿が上がってきたのを見て、正直「これは大変だな」と。なんせ、僕がひたすら出て、ひたすら喋っているので(笑)。なるほど、遊川脚本というのはこういうことなのか、これはある種、遊川さんからの「挑戦状」だなと受け止めました。脚本家、遊川和彦の世界観の中でどう戦っていくか、今回はそれがテーマですね。
足りない部分たくさん
——ストイックで何事も完璧主義、そんなイメージのある松本は、異色の“中腰ヒーロー”チカラの魅力を、どう捉えたのか。
魅力……あるのかな?(笑)。いや、もちろんあるんですよ。おせっかいというか、みんなが見過ごすようなことも気になって気になって、すぐ人の問題に首をつっこむピースフルな部分とか、本気で世界中の人が少しでも幸せになればいいなと思っている人間性とか、すてきな部分はたくさんあるんですけど、一方で足りないところもたくさんある人物なんですよ。むしろ、足りないところだらけなのが、顕著に描かれている(笑)。なので、見てくださる方によっては少しイライラしたり、「なんでそうなんだ、もっとやることがあるだろう!」とツッコみたくなるかもしれません。でも、そんなツッコみどころ満載のキャラクターだからこそ、人間臭くて伝わるものもあるんじゃないかな、と。ああ、こういう人いるなとか、身近に感じてもらえるキャラクターにはなるんじゃないかと思います。