オミクロン株が猛威をふるう中、孫との接触による祖父母の感染リスクが懸念されている。帰省だけでなく、子どもを高齢親に預けている家庭も注意が必要だ。AERA 2022年1月24日号から。
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初孫を広島の実家に連れていこうという計画が頓挫したのは、都内に住む女性(33)。出産したのはコロナ禍の昨年1月。それから実家の広島には一度も帰れていない。昨年10月、感染者数が収まっていたタイミングで両親が上京してくれたため、なんとか子どもの顔だけは見せられたが、ゆっくり過ごすことはできていない。
■帰省できずに育休終了
年末年始は夫の実家がある千葉に帰省したため、年明けに広島に帰ることを考えていたが帰れずじまいに。今月中に育休が終了するため、実家でゆっくりできる最後のチャンスは今だけだが、もうあきらめたという。
1月下旬に北海道の実家への帰省を計画していた都内の男性(55)も断念した。コロナ禍になってから2年、一度も実家には帰れていない。両親は80代半ば。二人とも元気ではいるものの、父親は高血圧だ。
年末年始は仕事が立て込み帰れなかったため、やっと帰れると思った矢先にコロナの感染拡大が深刻化した。男性が帰省をやめると伝えると、母親は「しかたがないね……」とは言うものの、声は明らかに曇っていた。
「もし親になにかあったら、あのとき帰省しておくべきだったと後悔するかもしれません」
感染拡大に不安が増す一方で、オミクロン株は重症化リスクが少ないという情報もあり、危機感のレベルは人それぞれだ。神奈川県在住の専業主婦の女性は子どもの通う幼稚園で陽性者が出たので休園になったが、さほど心配はないという。
11日の始業式の日、登園した直後にお弁当も食べずに、子どもは園バスで帰ってきた。
「見送ったばかりですぐお迎えでしたし、いつまで休みかわからなかったので、保護者は少しざわつきました。でも逆に休園でラッキーって思いました」
休園となった日には習い事の振り替えや歯科治療など、たまっていた子どもの用事を済ませることができた。ここまで感染が広がれば、習い事をしていても買い物をしていても、いつ感染するかはわからない。いちいち一喜一憂はしていられないと感じている。