1月14日付沖縄タイムス掲載のある記事を見てあきれ果てた。
「この違いってなに…? 米軍、日本出国時はコロナ検査していた」という見出しが、あきれかえる記者の気持ちを表わしていた。一体何が問題なのか、同紙の情報を基に解説しよう。
在日米軍が、米国などから日本に入国する前に新型コロナウイルス感染症の検査をしていなかった時期に、日本から米国への出国の際には検査をしていたというのだ。
当時、まだ日本でのオミクロン株感染の報告はほとんどなかったが、米国では既に感染が広がっていた。日本から米国向けの移動の際に検査不要とするならわかるが、その逆に、日本向けの方だけを検査不要としていたのだから、全く理屈が通らない。
「アメリカ・ファースト」ということなのか、「アジア人差別」なのか……と思いめぐらせたが、そうではないらしい。なぜなら、横田基地から同じアジアの同盟国である韓国に移動する際には出国前検査が必要とされていたからだ。
実は週刊『東洋経済』に掲載された記事で、山本章子琉球大準教授が既に指摘していたのだが、日本と同内容の地位協定を米国と結んでいる韓国では、在韓米軍が昨年12月3日から、入国直後のアメリカ軍関係者に到着初日と1週間後の2回、PCR検査を受けさせ、それまで容認していた自宅と職場との間の移動も禁止していたという。
一方、米軍は、日本政府に無断で2021年9月以降日本に向けた本国出国前の検査を中止し、日本入国直後の検査もないまま、入国者の隔離期間も14日から10日に短縮。そのうえ、特定の建物での隔離措置を止めて、基地内隔離に変更した。
その結果、陽性者が基地内のレストランや売店、娯楽施設に自由に出入りしていたという。10月には、ワクチンの2回接種で基地でのマスク着用義務もなくなった。その後批判を受けて、在日米軍全体で入国後PCR検査を始めたのは12月30日。マスク着用義務付けは何と年明けの1月6日だった。