また、「タンパク質と脂質は無制限に食べていい」という解釈のもと、広く受け入れられましたが、これにも問題があります。
油ギトギトの料理や過剰のタンパク質を食べ続けると、心血管系や腎臓などに対してネガティブな効果があり、死亡率を高める可能性が学術論文として発表されています。
そして、このダイエット法での最大の難点が「継続ができない」ことです。前述したように、幸福感を味わうための食欲は人間の努力によって抑えることは非常に難しいのです。
■間欠的ファスティングという幻想
最近流行しているダイエット法に、「一日おきに断食する」という間欠的ファスティングダイエットがあります。この方法は、「科学的に証明された方法」かつ「断食をしない日は好きなだけ食べられるからつらくない」とされています。
しかし、医学的な見地から行う間欠的ファスティングダイエットは、次の2通りです。
〇一日のなかで食事をする時間を6~8時間以内に収める(残り時間は、水分以外は摂取しない)
〇5日間のうち、2日は1食しかとらない
つまり、完全に食べない日をつくるのではなく、1日のなかに空腹な時間をつくるダイエットなのです。この方法でダイエットを行えば、効果があることはある程度わかっています。
空腹になることで体は飢餓に近い状態となり、全身の代謝に変化が起きて、糖分よりも脂質成分をエネルギー源として使うことを優先するようになります。その結果、体重だけでなく、条件つきですが、血糖や血圧などの値も改善することが報告されています。
しかし、一般的に広まっている間欠的ファスティングダイエットは、「一日おき断食法」なのですから、まったくの別物です。
加えて、「一日おき断食」を行った場合、「ぽっこりお腹」の原因である内臓脂肪を維持することになるという論文も発表されています。一日おきに断食すると体が飢餓状態になったと勘違いし、食べてもいい日に「次の飢餓に備えて脂肪として栄養を多めに脂肪に蓄えようとする」ということがわかりました。
■食事記録法の幻想
「自分が摂取する食事をすべて記録することでやせられる」
これが食事記録法ダイエットです。この方法をとると、自分が無意識に食べていた量を初めて自覚することができるため、一定の効果があります。