新型コロナウイルスの感染者数が爆発的に増加している日本。出勤できない人が続出する“職場危機”に直面し、現場は対応に追われている。AERA 2022年2月7日号で取材した。
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流通大手のイオンは、今年1月頭に新たに行ったことがある。それは従業員の「検便」だ。
同社では、最大40%の従業員が欠勤するケースを想定。従業員の感染などで人手が確保できなくなった際は衣料品や家庭用品売り場を閉め、食料品などの生活必需品売り場の維持に努めるという。担当者は言う。
「もともと食品売り場の従業員は月に1度検便をしていますが、他の売り場の従業員も応援に入れるよう1月頭には検便を実施しました。新型コロナの感染拡大が始まった2020年からはずっと、感染症に詳しい有識者らを交えた面談を定期的に実施して、体制を整えています」
■人員不足でオペ延期も
感染者数は日々、過去最多を更新。濃厚接触者も爆発的に増え、多くの従業員が出勤不可となることを想定した職場運営が求められる。
「今年に入って、スタッフの欠勤が増えました」
大学病院で働く看護師はそう異変を打ち明ける。年が明けてしばらくすると、濃厚接触者になったと休む医療従事者が続出。残業や担当外の業務のサポートなどでやりくりするが、いつまでもつかわからない。
「オペや入院の延期も出ていて、オミクロンが一気に近づいている感じがします」
医療逼迫を受け、厚生労働省はワクチンを2回接種済みで日々の陰性確認を条件に濃厚接触者となった医療従事者の勤務を認めるとしている。さらに、27日には、濃厚接触者の待機期間を10日から7日間に短縮する方向で調整に入った。いずれも社会活動の停滞を食い止めるためだ。だが、感染力が強いとされるオミクロン株においては、濃厚接触者だけを想定していると足をすくわれかねない。
「濃厚接触者の濃厚接触者も陰性が確認されるまでは出勤しないようにしています」
そう説明するのは、関西の介護付き有料老人ホームに勤める40代男性だ。この施設では、家族が濃厚接触者になった場合、同居するスタッフもPCR検査を受けるようにしているという。