AERA 2022年2月14日号より
AERA 2022年2月14日号より
この記事の写真をすべて見る

 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の猛威が止まらない。病床の確保が追いつかず、感染者の多くは自宅療養を強いられそうだ。いまこそ必要な備えがある。AERA 2022年2月14日号は「オミクロン版自宅待機」特集。

【写真の続き】オミクロン版「自宅療養マニュアル」チェックリストはこちら!

*  *  *

「風邪じゃなかった。抗原検査でコロナ陽性だった」

 38度の発熱と咳(せき)、喉(のど)の痛みで近所のクリニックを受診していた記者(47、羽根田)の夫(53)から電話があったのは、1月14日のことだった。

 新型コロナウイルスの新規感染が急速に拡大していたドンピシャのタイミング。ちょうど、オミクロン株への置き換わりが進んでいたころだ。12日には全国の新規感染者数が1万人超、そのわずか2日後には2万人を超えたと報じられていた。

 幸いにも夫は、翌日には“通常の体調”となった。この記事を書いている2月1日時点では自宅療養も解除。記者も家庭内感染することなく、濃厚接触者としての待機期間を終えた。

 だが全国の新規感染者数は連日過去最多を更新し、2月5日には10万人を突破した。患者の急増で、救急患者の受け入れ先がすぐに決まらない「搬送が困難な事例」の報告も相次ぐ。

 さらに感染能力が高い“別系統”のオミクロン株も、国内で確認された。従来の「BA.1」とは変異箇所が異なる「BA.2」という種類だ。京都大学の西浦博教授らの分析では、感染力が18%高いという。BA.1がピークアウトしても、さほど間をあけずに第7波という事態が容易に想像できる。

頭が割れるような痛み

「オミクロン株は『発症しても軽症』という考えが蔓延(まんえん)していますが、全員に当てはまるわけではありません」

 こう指摘するのは、米山医院(東京都あきる野市)の米山公啓院長だ。ワクチン未接種の人、免疫力が落ちている人、高齢者や基礎疾患のある人はこれまでと同様、重症化リスクを無視できない。発症しても医療に速やかに結びつかなければ、命を落とす人が増えるだろう。

 軽症でも、記者の夫の場合、発熱時は頭が割れるような痛みで「横になっていてもつらい」と訴えた。別の感染者の話では「40度の熱が4日続き、ずっと自宅療養で最悪の事態を覚悟した」(38歳女性)、「咳で数日間眠れなかった」(33歳男性)といった声もある。

次のページ