また、自分たちが感染者・濃厚接触者になって実感を伴って理解したのは、下山院長の話にあった「好みのもの」の重要性だ。オミクロン株は重症化の可能性もあるので甘く見てはいけないものの、軽症または無症状の人が大半であるのも事実。つまり、自宅療養中、普段通りに過ごせる人が多い。

「元気だけど寝室に閉じこもりきり」といったストレスからか、夫は普段以上に食欲が増していた。いつも食べているものが自宅にあるのは心強く、記者宅で言えば、納豆、豆腐、卵、豚肉、鶏肉、キャベツ、白菜、ネギ、キノコ類など。鍋や肉料理を作り、場所は違えどタイミングを合わせ、2階と1階で会話をしながら食事をしていた。

「自宅療養では不安も増します。顔を合わせなくても、LINEなどを使えば気軽にコミュニケーションが取れる。一人暮らしでは、家族や友人が心の支えになります。日々連絡を取り合うようにしてください」(同)

 ほうじ茶や緑茶などのティーバッグ、ドリップコーヒー、保温機能の高い水筒(湯を入れて“療養部屋”に置いておける)も、自宅療養の必須アイテムだと感じた。おいしいスイーツがあれば、なおよし。温かい飲み物と甘い物は、心身の癒やしになる。平時の買い物では、コロナ感染が発覚した場合を念頭に置き、品物選びをしたい。

風邪ならコロナを疑え

 記者が家庭内感染せずに済んだ最大のポイントは、「風邪を疑った瞬間から居住スペースを分け、マスク着用」だったと考えている。

 家庭内感染をした複数の知人から、「風邪だと思って普通に過ごしている間に、家族に感染させていた」という話がよく出てきた。時節柄、風邪も引きやすい。もう少ししたら花粉症シーズンもやって来る。

 咳やくしゃみを「いつものやつ」と思わずに、うつさない・うつらない対策を速やかに講じるべきだ。(ライター・羽根田真智)

AERA 2022年2月14日号より抜粋

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