「従来の感染対策を徹底するのは当然として、オミクロン株の感染力の高さを見ると『感染は免れないかも』と考えておいたほうがいい。自分が感染しなくても、同居する家族が感染して濃厚接触者となることもある。その場合の備えを今からしておくべきです」(米山院長)
具体的な対策とは。まずは記者の体験も踏まえ、紹介したい。
東京都は40代以下で軽症の自宅療養者を支援する相談窓口を1月31日に開設した。すると、健康観察に必要な機器「パルスオキシメーター」の申し込みが相次いだ。神奈川県では医療機関を受診しなくても自宅療養を認める自主療養制度を28日に導入。医療提供態勢の維持のため、重点的に健康観察が必要な人以外へのパルスオキシメーターの貸与をやめた。
国際医療福祉大学熱海病院臨床検査科の〆谷直人検査部長が言う。
「酸素飽和度の正常値は96%以上ですが、パルスオキシメーターで酸素飽和度が93%未満なら重症型となるため、93%未満であれば保健所や訪問診療クリニックに連絡しなければなりません。パルスオキシメーターの貸与が間に合っていない自治体もあり、体温計も含めて自ら準備しておくことを強く勧めます」
パルスオキシメーターを持っている人もいるだろうが、電池切れには要注意。念のため、電池の予備も確認した方がいい。
軽症なら対症療法も可
新型コロナの抗ウイルス薬として、米メルク社の経口薬「モルヌピラビル(商品名ラゲブリオ)」が承認されている。また、1月14日には米ファイザー社の経口薬「パクスロビド」も承認が申請され、まもなく承認が下りる見通しだ。
「抗ウイルス薬が処方されればその服用をしてください。感染者の急増で、保健所の対応が遅れがちですが、過度の心配は不要です。軽症の80%は対症療法で良くなるので、つらければ市販の消炎鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、総合感冒薬で症状の軽減をはかってください」(〆谷氏)
同居家族がいる場合、家庭内感染をどう防ぐかが重要な課題となる。
国立感染症研究所の発表(1月10日時点)によると、感染経路が推定されたオミクロン株の感染事例では、飛沫(ひまつ)感染が疑われるものが多かった。直接または間接的な接触による感染、換気の悪い屋内でのエアロゾル感染が否定できない例もあった。