撮影:ミーヨン
撮影:ミーヨン

「そこであがめられているのは、アミニズムというか、自然の神様ですね。日本でも、野とかに行くと、巨石が神様だったりするじゃないですか。韓国の場合は、特に木が神様、ご神木なんです。いやあ、面白いですよ。信仰がそこから始まったと思うと」。ミーヨンさんは声を上げる。

 神社信仰の起源に両国の共通点を見つけると、それを撮りたいという気持ちが強く湧き上がってきた。

 本格的に撮影を始めたのは16年。恐山、佐渡島(賽の河原)、京都、奈良、熊野など、日本各地の聖地を訪れた。再び、沖縄にも足を運び、斎場御嶽を含め、各地の御嶽をまわった。

 18年春には、韓国・済州島を訪れた。

「済州島には堂がたくさん残っているんです。かつて、韓国には各地に堂があった。ところが、儒教や仏教が入ってくると、そういう自然崇拝の場所は排斥されてしまった。でも、済州島は沖縄と同じように周囲が海に囲まれているから、堂が守られてきたんです」

撮影:ミーヨン
撮影:ミーヨン

■多摩川をガンジス川に見立てテスト撮影

 さらにミーヨンさんは足を延ばし、同年11月、インド・バラナシを訪れた。

 インドであがめられているのは巨石や樹木ではなく、「聖なる川」。なかでも神聖とされているのがインド北部の都市、バラナシを流れるガンジス川。

「インドは、いつか行ってみたいと、ずっと私の心の中にあったんです。でも、体が丈夫ではないし、1人で行くのはちょっと怖かった」

 そこでミーヨンさんは、海外から芸術家を招聘するプログラム「アーティスト・イン・レジデンス」を利用することにした。

「それを探したら、あったんですよ。バラナシに。ここだ! と思って、受け入れ先の夫婦に作品に送って、コミュニケーションをとって、その家に1カ月間滞在することを決めた」

 さらにミーヨンさんはインドにたつ前、自宅近くの多摩川を訪れ、テスト撮影をした。

「インドって、あまりにもフォトジェニックじゃないですか。人がすごく魅力的だし、色もそう。たぶん、そのままインドに行ったら、あれも撮ろう、これも撮ろうと、すごく迷ってしまうと思って」

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