――オリンピック前に「2連覇を持っていて、それを失うのが怖い」とおっしゃっていました。ただ、ちょうど8年前にソチで金メダルを背負ってから五輪王者であり続けてきて、それがなくなった今、率直にどんな感情がわいているのか教えてください。

 そうですね。あー、ははは。これは泣かせにくるやつですかね?

 でも、とても重かったし、でもとても重かったからこそ、自分が目指しているフィギュアスケートというものと自分が目指している4Aというものを常に探求できたって思っています。まず、ソチオリンピックで優勝していなかったら報道の数も違ったと思いますし、そこで羽生結弦っていうスケーターがいるんだって、「パリの散歩道」とか「ロミオとジュリエット」とかそういう演技を見ていただいて、あ、こんなスケーターがいるんだって注目していただけるきっかけにもなったし、それから応援してくださる方もたくさんいらっしゃると思います。

 そして、平昌オリンピックで「SEIMEI」と「バラード第1番」をやって、それで、「あ、やっぱ羽生うまいじゃん」とか「羽生選手、これからも応援したいな」ってそうやって思ってくださる方もたくさんいらっしゃって、だからこそ今があるんだと思っています。

 だから、もちろん、3連覇っていうことは消えてしまったし、その重圧からは解放されたかもしれないんですけど、でも、ソチオリンピック終わったときに言っていたことと同じで、僕はやっぱりオリンピック王者だし、2連覇した人間だし、それは誇りを持って、これからも2連覇した、フィギュアスケートを2連覇した人間として、胸を張って、後ろ指をさされないように、自分自身が、明日の自分が今日を見たときに胸を張っていられるように、これからも過ごしていきたいなって思っています。

(ライター・野口美恵)

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