直後、清水がマウンド上で「ウォ~リャ~ッ!」と豪快な雄叫びを上げると、梶谷は怒りの表情でバットを持ったまま、マウンドに1歩、2歩と詰め寄り、叱責と思われる言葉を発した。

 だが、清水は意に介することなく、その後も気迫を前面に出した投球を続け、同年は30ホールドポイントで自身初タイトルの最優秀中継ぎ投手を獲得。「来年はもっともっと気合を入れて、さらなるレベルアップを求めていきたい」と力強く抱負を語った。

 その言葉どおり、清水は今季も9月15日の阪神戦で8回2死満塁のピンチにサンズを空振り三振に打ち取った直後、雄叫びとともに派手なガッツポーズを披露するなど、すっかりトレードマークに。

 この種のパフォーマンスは、投手として「10年早いんだよ」と言われないだけの実績を残せば、ある程度容認され得るものなのかもしれないが、時には通じない相手もいるので、ご用心あれ!(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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