一般入試の志願者数は、大学人気を測るバロメーターの一つ。私立大の志願者数の速報で1位となったのは今年も近畿大で、9連覇となる見込みだ。コロナ禍の影響が続く今年は、どんな変化があったか、気になるランキングを見ていこう。
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2022年の大学入試も国公立の前期入試が終わり、大きなものでは後期入試を残すのみとなった。私大の受験事情も、これまでとは様変わりした。理由はもちろん、新型コロナウイルスの感染拡大の影響だ。
20年春以降、各大学はリモート授業を相次ぎ導入した。せっかく地方から都市部の大学に進んでも、思うようにキャンパスで授業を受けられない状態が続いている。
そのため、無理して親元から離れる必要はないと考える傾向が強まり、受験生の間にはかつてないほど地元志向が高まっている。
大学通信によると、コロナ禍“元年”となった21年入試の全私大志願者数は、前年比でのべ人数で52万人超、率にして約14%減という戦後最大の減少幅となった。
それから1年。ワクチン接種も普及し、コロナへの抵抗は薄れつつある。今年、のべ志願者数が多かった私大の上位20大学をランキングにまとめた。
全体では3%増となり、首都圏や関西圏の人気大学が上位に並んだ。コロナ禍による“超地元志向”はひとまず落ち着いたと言えそうだ。
1位は近畿大の15万3697人。昨年比13%増で約1万8千人増やした。これで近畿大は9年連続のトップ。志願者数はピークだった18年入試(15万6225人)にも迫る数字だ。
近畿大では14年以降、OBで音楽プロデューサーのつんく♂さんを入学式の演出に起用し続け、教職員も積極的な情報発信を続ける。
同大入学センターの大宮淳史部長は、受験生の間で「近畿大学」の名が認知されてきたことに加え、「今年に限っては大学入学共通テストの難化も影響しているのでは」と分析する。
「特に関西圏では国公立を第1志望にする受験生が多いのですが、共通テストの難化で私立専願に切り替え、本学の志願者増につながったとみています」(大宮さん)
学内の速報値では、過去最高の志願者数になる見込みだという。