立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授は今回の地震の特徴をこう指摘する。
「東日本大震災の時は震源の深さは24キロ程度でしたが、今回は約57キロと深い。津波は大きくなりませんでしたが、広い範囲で揺れを観測しました」
また、本震の2分ほど前にM6・1(震度5弱)の前震が発生。長い揺れを感じた人も少なくなかったという。
気象庁は今回、高層階が大きく揺れる「長周期地震動」も観測されたことを明らかにした。長周期地震動とは、ゆっくり繰り返す長い周期の地震動のこと。地震動の揺れの周期が建物の揺れの周期と近いほど共振しやすく、高層ビルの上階ほど大きく長く揺れる傾向がある。
周期が1・5~8秒の揺れを対象とし、強さは1~4の階級で示す。宮城県北部では揺れの大きさが最大の「階級4」を観測。立っていられないほどの揺れとされる。
「東京でエレベーターが止まったのも長周期地震動によって揺れたのが原因です」(高橋さん)
いま、太平洋プレートの動きが活発になっていて注意が必要だという。高橋さんは説明する。
「太平洋プレートの動きは、関東南部から九州にかけ沈み込んでいるフィリピン海プレートにも影響を与えます。フィリピン海プレートは南海トラフ巨大地震を引き起こすとされていて、これが北米プレートやユーラシアプレートを圧迫し相当なひずみがたまっています。これらのプレートが我慢できなくなって跳ね上がると、巨大な海溝型地震が起きる可能性があります」
(編集部・野村昌二、川口穣)
※AERA 2022年3月28日号