3月16日深夜、宮城、福島両県で震度6強を観測する地震が起き、広範囲で被害が出た。AERA3月28日号では、今回の地震を緊急取材。専門家が語るメカニズムとは。
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宮城県石巻市で養殖業を営む小川英樹さん(40)は自宅で就寝中に地震に遭った。最初の揺れで跳び起きてテレビをつけたところで、スマートフォンアプリの緊急地震速報が次々に鳴り始めたという。
「ジワジワ揺れ始めたと思うと、下からドーンと突き上げるようなものすごい揺れがきました。テレビが跳ね上がるような感じで、マズイと思ったけれどとても立っていられない揺れでした」
石巻の震度は6弱。昨年2月の福島県沖の地震、同3月の宮城県沖の地震でも震度5強を観測したが、「比較にならない揺れ」だったという。
「揺れ方や大きさはまさに東日本大震災のような感じです。揺れた時間は東日本よりも短かったですが、津波注意報も出て、あのときを思い出しました」
自宅に大きな被害はなかったというが、冷蔵庫の中身が飛び出して床に散乱したり、給湯器が動かなくなったりした。
小川さんは震災後の防災集団移転事業で内陸部に移転しており、今回は避難していない。津波注意報の解除とあたりが明るくなるのを待って、早朝に海へ向かった。今年1月のトンガ沖の噴火による津波の際はカキが5万個程度付いた養殖いかだが1台沈没しており、今回も被害が心配だったという。
「幸い、大きな被害は出ていませんでした。それでも、水槽の中がぐちゃぐちゃになっていた。網漁をしている漁師は、海の底にあったものが巻き上げられて網に絡まったようで、引き上げられずに四苦八苦しています。海面で観測された津波はわずかでしたが、海の中はかなり動いたことがわかります」
3月16日午後11時36分ごろ、宮城、福島両県で震度6強を観測する地震が起きた。東京23区でも震度4を観測した。
気象庁によると、震源地は福島県沖で震源の深さは57キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・4。太平洋プレートと北米プレートの境界で起きた2011年の東日本大震災と違い、太平洋プレートの内部で発生した。そこは東日本大震災のひずみがたまっている地域で、そのためプレート内部が崩壊したと見られる。