※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 腎臓の機能が低下して末期腎不全になると、自分の腎臓の代わりとなる治療(腎代替療法)が必要です。複数の治療法がありますが、日本ではそのほとんどを人工透析のうちの血液透析が占めています。厚生労働省は2年に1度改定される診療報酬でその状況を変えようと仕組みを変えつつあり、この4月の改定でも、腎移植などが積極的に進められる内容になります。この分野の専門医であり、東京女子医科大学血液浄化療法科教授の土谷健医師に解説してもらいました。

【チャート】腎臓病になったら…治療の選び方

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 慢性腎臓病(CKD)という病気をご存じでしょうか。糖尿病や高血圧、腎炎などにより血液の濾過(ろか)を担う腎臓の機能が少しずつ落ちていく病気で、国民の8人に1人が罹患している新たな国民病と言われています。この病気が進行し、末期腎不全になると自分の腎臓の代わりとなる治療(腎代替療法)が必要になります。

 慢性腎臓病は自覚症状のないまま進行しやすく、「体調不良で受診をしたら、糖尿病が進行していて、腎不全の一歩手前と言われた」などのケースは決して珍しくありません。

 日本国内では、毎年4万人に近い新たな人々が人工透析を始めており、透析患者の総数は実に30万人を超えています。これは、国民の400人に1人、高齢者に限れば約100人に1人の割合となります。

 腎代替療法の中で現在、最も多くの人が受けているのが人工透析のうちの「血液透析」です。約97%(2020年調査)を占めています。週に3回、病院やクリニックに通い、4時間かけて血液をからだの外に出し、人工腎臓(透析器=ダイヤライザー)を通じてからだの毒素や余分な水分を取り除いた後に再び体内に戻す治療です。

 しかし、このほかにも多様な治療法があることを患者さんは知るべきです。具体的には「在宅血液透析」「腹膜透析」「腎移植」などです。二つの透析も血液透析と同程度の治療効果があります。腎移植はより健康な状態に近づける治療となります。

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自宅に透析装置を設置する「在宅血液透析」とは?