東京女子医科大学血液浄化療法科教授の土谷健医師
東京女子医科大学血液浄化療法科教授の土谷健医師

「在宅血液透析」は自宅に透析装置を設置し、自分自身で血管へ針を刺し、透析をおこなう方法です。週に3回の限度がなく、毎日の透析もできるので、透析量が多く、体調をより良好に保つことができます。自己管理や作業があるので若い患者さんに向いています。「腹膜透析」も在宅でできる透析治療です。こちらは自分のおなかの腹膜に透析液を入れて体内の毒素などを染み出させ、数時間ごとに交換します。

 いずれも仕事の時間などを考慮しながら、自分のやりたい時間に透析ができる点が大きなメリットです。また、コロナ禍においては、通院と比較し、感染リスクを減らすことができると注目されています。

「腎移植」は文字通り、提供者(ドナー)から腎臓を移植する治療です。透析全般と比べ、予後(治療後の健康状態)がいいことがわかっています。

 移殖後は免疫抑制剤などの薬を飲み続けなければなりませんが、食事の制限も少なく、健康な人とほとんど変わらない生活ができるようになることも大きなメリットですね。

 ところが、こうしたさまざまな治療法について、十分に情報が提供されているとは言えません。

 例えば腎移植は病気や事故で亡くなった人から提供を受ける「献腎移植」のほかに、生きている人から片側の腎臓のみの提供を受ける「生体腎移植」があります。このうち生体腎移植は血液型が違っても可能ですし、血縁者だけでなく、夫婦間でもできるようになっています。

 しかし、このことを知らない患者さんがあまりにも多すぎるのです。

 昨年、地方のクリニックから東京女子医科大学病院に紹介されてきた70代のご夫婦のケースでは、夫が20年前から血液透析を受けていましたが、夫婦間で腎移植ができる、と知ったのはごく最近ということでした。

「知っていたらもっと早く、移殖ができたのに」

 と、残念そうにおっしゃっていました。

■血液透析が多い理由

 なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

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日本で血液透析が多い理由とは?