人間が本気で何かに向き合った時って、いい意味でプライドがなくなります。例えば自分と同じように生きている人がSNSをどう使っているんだろう、と探してみるのもいいと思います。それをノートに書き写して、自分ならどうアレンジするか、一つ一つ具体的に考えてみる。芸人さんの世界でも、天才と言われる人の漫才をテープ起こししている人は多いですよね。全部ノートに書き写してみるといろんな発見ができます。リズムはどうなのか、このタイミングでこの突っ込み方は他に誰もやっていないな、とか。すごい人のすごい技を言語化して把握できると思います。
「今年中に何とかしなければ」「親の手前何とかしなければ」と思ってしまうと、そのプレッシャーの方が強くなりすぎて、そういう大事な作業がおろそかになります。細部に宿った神が見えなくなってしまうんですよね。
アマチュアとプロに違いがもしあるとするなら、プロは私情を仕事の前に出さないことだと僕は思っています。悩みに対しても同じこと。「悩みは今私に何をすることを求めているのか」と、悩みの側に立つと、キツく感じてしまうこともあるけれど、「私が次に出す姿勢」なんかも見えてくることもありますよ。
しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気
※AERA 2022年3月28日号