この映画はアメリカでほとんど宣伝されていません。アカデミー賞の前はどの作品もキャストと監督が現地入りして毎日盛大なキャンペーンが行われ、Netflixなどはロゴ入りのトレーナーなどをガンガン送ってきたりするのですが、濱口監督からはノミネートへの感謝の手紙が送られてきただけ。授賞式にはいらっしゃることが決まったようですが、その謙虚さが逆に目立っていました。
今回はタイミングもよかったと思います。19年に外国語映画賞でノミネートされた是枝裕和監督の「万引き家族」は、超メジャーでブランドを確立しているアルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA/ローマ」と同じ年だったことが惜しかった。濱口監督の「国際長編映画賞」「脚色賞」は確実だと信じています。
(取材・構成/中村千晶)
※週刊朝日 2022年4月8日号