国民と苦楽共にする
だから、自分の性格を「『穏やか』であったり、『無邪気』と言われることが比較的多いような気がいたします」と述べ、長所を「強いて申し上げるなら、『どこでも寝られるところ』でしょうか」と述べる。そんな20歳の愛子さまにうれしい気持ちになったのは、私だけではないはずだ。
とはいえ、皇室が抱えるさまざまな問題は解決してはいない。それが秋篠宮家へのバッシングを招いていて、皇太子時代の天皇陛下と雅子さまから所を変えただけ。そう見ることもできる。そのことを考えなくては。というのが井上編集委員の指摘だと理解する。
愛子さまに戻る。会見で、「被災地」について2度述べた。最初は「国内外の出来事で関心のあること」という質問への答えだった。「自然災害が増え、規模が大きくなっていること」をあげ、被災地でボランティアとして活躍する人の姿に感銘を受ける、と述べた。
2度目は「皇室の一員としてのあり方をどのように学んでいるか」という質問。「国民と苦楽を共にすることが皇室にとって最も大切にすべき精神」という認識を示し、その表れが「被災地に心を寄せ続ける」ではないかと述べた。
平和を思い、被災地を思う。愛子さまには、皇族としての自分の道が見えている。賢明で、強いとはこのことだ。
たくさんの会見を
愛子さまの次の記者会見はいつになるだろう。女性皇族の近い先輩でいえば、秋篠宮家の眞子さんと佳子さまだ。その例にならえば、次回は大学卒業時の「文書回答」となる。
「天皇家の長女」の先輩なら、叔母の黒田清子さん。清子さんは成年時に続き、大学卒業時にも記者会見をした。以後も誕生日や外国訪問時に、会見をしたり、文書を公表したりした。「開かれた皇室」を目指した上皇陛下と美智子さまの影響が大きかったと想像する。
愛子さまは清子さんスタイルを進めた「誕生日プラスαの会見」でどうだろう。女性皇族の役割は大きい。コロナ禍で皇族が直接、国民と触れ合う機会も激減中だ。だからこそ、愛子さまがたくさん会見する。皇室の「キラーコンテンツ」になるに違いない。(コラムニスト・矢部万紀子)
※AERA 2022年4月4日号