
■「もう、ほんと、野宿です」
旅に出ると、「地図はあまり見ないで、適当に、気分次第で走る」と言う。
1泊2日の近場のツーリングがあれば、1カ月以上の長旅もある。昨年は西日本へ40日間の旅に出た。
「そのときは鹿児島県の佐多岬まで行きました。たまたま、その近くを走っていたら、コンビニに止まるたびに、おばちゃんから『佐多岬に行ったかい?』って、3回くらい聞かれた。じゃあ、行ってみようかなって、思って行った。そんな感じです」
宿泊は、よほどの雨でないかぎり、テント泊。
「もう、ほんと、野宿です。そのへんの空きスペースにテントを張る。別に貧乏旅行がしたいわけじゃないんですけど、目的地が決まっていないので、必然的にそうなっちゃう」
最近は、空前のキャンプブームであるが、キャンプ場は利用しないのか?
「あの、おしゃれさんたちのなかに入っていくのはちょっと抵抗がありますね。キャンプ場に行ったら行ったで、すごく混んでいる。もともとキャンプ場にはあまり行かないんですけど、さらに行きたくなくなっちゃった」
夕食の材料はスーパーに立ち寄って買い求め、暗くなる前に寝床を確保する。
海辺や山のなかに泊まることもあるが、「いちばん安心なのは川沿い」だそう。しかし、人目を気にせずにゆっくり過ごせる場所はなかなか見つからないという。
オフロードバイクであれば、林道に分け入ってさまざまな場所を探せるが、ハーレーでは「ぜんぜん入っていけないから、なかなか厳しい」のだ。
ちなみに、炊飯や調理で使うコンロは、バイクと燃料を共用できるガソリンコンロを愛用している。昔、アメリカ大陸を旅した際、バンクーバーで購入したものをいまも使い続けている。

■愛車をいたわりながらのバイク旅
20年以上乗り続けているハーレーは、「もうだいぶボロボロです」というものの、最近フルオーバーホールしたエンジンは絶好調という。
「ただ、ミッションから結構オイルが漏れちゃっているので、こっちもやらなきゃな、という感じですね」
旅の途中で何やらバイクの部品を分解している様子を写した写真もある。
「キャブレターの調子が悪くなって、エンジンが止まっちゃった。山道の駐車場に入って、キャブをばらして、調整しているところです」
そんなアクシデントを苦にするでもなく、愛車をいたわり、淡々とバイクで旅をする。流行とは関係なく、ただ自分のスタイルで走るのが楽しい。そんなすがすがしさが作品から伝わってくる。
(アサヒカメラ・米倉昭仁)
【MEMO】横島清二写真展「走れ、走れ」
ソニーイメージギャラリー(東京・銀座) 4月1日~4月14日