
写真については、最初からうまく撮れたわけではない。むしろ、逆だった。
「初めて一眼レフを買って、持っていったんです。日本に帰って現像するのがすごく楽しみだった。ところが、出来上がった写真を見て、がっかりしちゃった。自分が思っていた写りとは違っていた。それで写真を勉強しようと思った」
独学で撮影技術を習得し、バイク雑誌で写真の仕事を始めたのは08年ごろ。
「勝手に、自分の写真はすごくいいんだって、思った。何か、ばかみたいな自信があった」
横島さんは次第に頭角を現すようになり、13年、コニカミノルタ フォト・プレミオに入賞。翌年、上野彦馬賞にも入選した。
■しっかり撮ろうという意識はない
ちなみに、バイクの作品はすべてモノクロで、理由をたずねると、「バイクの色が黒とシルバーで、『ハーレー、イコール、モノクロ』みたいなイメージが昔から強かった」と、説明する。
さらに、走っているときの感覚や記憶を表現するのに、カラーよりもモノクロのほうがしっくりくるという。
「観光地とかはぜんぜん行かないので、記憶が鮮明には残らない。そんな気分が色のないモノクロと合っていた」

旅に出るときは、首から下げたカメラを胸元のバッグの上に置いてバイクを走らせる。
「写真を撮りに行くといえば、そのとおりなんですけれど、それと同じぐらい、バイクに乗ることを楽しむ。だから、しっかりこう撮ろう、みたいな意識はないです。バイクですっと通り過ぎる風景を横目でちらっと見て、そのままの感じをカチャっと撮る」
その際、撮りたい方にレンズを向けるだけで、ファインダーはのぞかない。ピントはカメラ任せ、というより、あまり気にしない。逆に、気にするのはシャッター速度という。
「ピントやブレの心配をするよりも、いい感じで画面が横に流れることを意識して撮っています。シャッター速度を意図的に下げて、一般道では1/60秒、高速道路では1/80秒。すごい山道だとバイクの速度もかなり遅くなるので1/30秒」
しかし、そこまでシャッター速度を下げてしまうと、路面からの振動をひろってしまい、さすがにブレてしまうのではないか?
「まあそれも、撮った後のお楽しみ。自分が走った感じが出ていればいい、くらいに思っています」