そして、はたと気付いたことがあります。よく「中森明菜を観るとミッツを思い出す」とか「羽生結弦の姿を見るとミッツが過る」といった声を、街やネットで耳にするのですが、これってまさに私が体験した「有村昆効果」と同じ類の現象ではないでしょうか?

 先日も、29年ぶりに再結成した『男闘呼組』をテレビで観た人から、「すぐにミッツさんの顔が浮かびました」と言われたばかり。言われた方としては「余計なこと考えていないで集中して観ろよ」と思うものの、人の記憶や情報処理の回路は、意外なほどに細かく出来てはいないと、身をもって知ってしまった以上、そんな無責任でいるわけにもいかない気がしています。正直、私にとって『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観る上で、「有村昆情報」は邪魔でした。ということは、私も大いに世間の「ピュアな視線や記憶」を邪魔しているに違いない。気をつけないと。

 ちなみに「トム・クルーズ」と聞くだけで通訳の戸田奈津子さんを思い出しますが、この場合はトムより戸田さんの方が好きなので問題はありません。そういうことなのかも。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2022年8月5日号

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