「ハーバードでは、『多角的にモノを見ましょう』と押し付けるのではなく、さまざまなバックグラウンドや考えを持つ学生と議論することで、『そういう考え方もあるのか』と自然と視野が広がっていく感じでしょうか。周りの学生を見ていても、会話を通してお互いに刺激しあっていました。また、例えば『サイエンス&クッキング』は、料理と科学を掛け合わせて研究するユニークな内容ですが、そうした授業を受けていると、『音楽とプログラミングなら?』とか『アートと科学を組み合わせてみよう』といった自由な発想になって、物事をいろんな角度から見るようになる。何かひとつを突き詰めてスペシャリストを目指すのも素晴らしいことですが、私がハーバード卒業後に進学したジュリアード音楽院では、上手く演奏できるようになることが最優先で、多くの時間を練習に費やすのが当たり前。もし私が先にジュリアードに入学して、その後でハーバードに進学していたら、マカロンの研究も無駄だと感じてしまったかもしれません(笑)。そういう意味では、入学する順番が逆でなくてよかったのかもしれませんね」
(構成/奧田高大)