W杯アジア最終予選で存在感を見せた日本代表の三笘薫
W杯アジア最終予選で存在感を見せた日本代表の三笘薫
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 日本、スペイン、ドイツ、そして大陸間プレーオフの勝者(コスタリカ or ニュージーランド)。先日の抽選会で決まったカタールW杯のグループEは、日本から見れば「死の組」と表現できるが、世界から見れば「2強2弱」の“予想しやすい”組となった。だが、予想はあくまで予想。例えW杯優勝経験のある欧州の強豪2カ国が同居する中でも、日本の決勝トーナメントへの扉は開かれている。

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「2強」のスペインとドイツの力関係を見ると、ともに野心的な監督のもとで若い選手が台頭している点は共通しているが、スペインが昨年10月のネーションズリーグで決勝まで勝ち上がったこと、そこに逸材FWアンス・ファティが故障から復帰することを考えれば、ドイツよりも力は上だろう。そのスペインが実力通りに3連勝を飾り、力が落ちる大陸間プレーオフの勝者が3連敗と仮定すれば、日本は初戦のドイツに引き分ければ、第2戦での勝利の後、第3戦でスペインに敗れても「1勝1分1敗」となり、ドイツと勝点4で並ぶことができる。

 ここで鍵を握るのが「対戦順」である。日本が第1戦でドイツと引き分け、スペインが第2戦でドイツも破って2連勝すれば、2試合を終えた段階でスペインが勝点6(2勝)となって決勝トーナメントに進出決定。日本は勝点4(1勝1分)、ドイツは勝点1(1分1敗)で第3戦を迎えることになる。そこで、すでに突破を決めているスペインが、主力温存かつスローペースで試合を行えば、「勝利」は難しくても「引き分け」の可能性は確実に上がり、大量失点の危険性も少なくなる。対するドイツには、第3戦での「勝利が絶対条件」となり、そこで“焦り”が発生し、敗退決定も“名誉のため”に伸び伸びと戦うプレーオフ進出国に苦戦することになる。他力ではあるが、十分に考えられるシナリオだ。

 だからこそ、日本にとっては初戦のドイツ戦が非常に重要になる。前回ロシア大会でまさかのグループリーグ敗退となったドイツは、約15年続いたレーヴ体制に別れを告げ、昨年5月のEURO終了後にハンジ・フリック監督が就任。今回のW杯予選では9勝1敗(36得点4失点)で楽々と出場権を獲得したが、対戦相手に恵まれたことも理由の一つだ。

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スペイン、ドイツで“警戒”すべきは?